- はじめに -
最近、"ガルパン"や"シンゴジラ"、"君の名は"が話題になって、映画批評系のブログ記事がホットエントリーになる事が多い。
昨日も「同じ映画を何回も見る人って…」みたいなブログ記事がバズっていた。
同じ映画も好きなだけ見ると良いと思うし、色んな映画を幅広く見るのも、映画を見ないのも構わないが、ブログ記事のサムネイルは映画のワンシーンだし、記事内で引用されてる映画論評アカウントのアイコンも映画の画像かアニメキャラの画像。
コンテンツの事は好きなのに画像は転載するってお前それ「コンテンツが好きな自分が好き」なだけなのと勘違いしてんじゃないのという話。
- でもお前のアイコン無断転載じゃん? -
今やインターネットが普及して、市民ジャーナリズムや個人ジャーナリストが一般に認知されている。
個人の意見や見解が時に人を動かすし、企業も「個人の発信する力」を常に考えている時代だ。
個人のTwitterアカウントが投稿したものが、社会全体に広まって話題になる。
自分の好きなものを評価して、共有して、その情報でみんなで盛り上がれる事ができる。
時に、その情報が社会を変える事もある。
テレビや新聞じゃ得られなかった欲求が、インターネットには満ちていると思う。
SNSは特に日々色んな事が話題になって、いつ誰が中心になるか分からない状態だ。
好きな事を語っていただけなのに、明日にはその投稿で世界中の話題の中心になっている可能性がある。
好きなコンテンツを語るのは凄く良いことだと思う。
好きな事で繋がった人達は、より深い内容で話ができるし、その結果生まれるものも多い。
でも待って欲しいんだけど、お前のアイコン無断転載じゃん?
好きなものをアイコンにしたり画像でシェアしたりしたい気持ちは分かるけど、でもそれ無断転載じゃん。
お金が発生するはずの動画や画像を許可なくダウンロードして貼っつけて、その所作はとても簡単だけど、それマスメディアがやって炎上しまくってた内容と一緒じゃないの。
インターネットをする人達が一番嫌いな転載ってやつなんじゃないの。
好きなら何でもやっていいと思ってるの?
- でもお前のそのシェア無断転載じゃん? -
最近では、"君の名は"の公式アカウントが作られ、違法なアップロード動画をTwitterでシェアしているアカウントに対して注意喚起を行っている事が話題になった。
動画をシェアしている人には、多分罪悪感はないのだろうと思う。
そのシェアの方法がどれだけクリエイターや企業にとって損害となっているのか想像がしづらいからだ。
こういった行為は、お金のかからない便利な行為という認識が強いだろう。
批判している人も一定数居るが、認知的不協和からこういった人が変わる事は難しい。
認知的不協和理論は本当にすごい。大体当てはまる。
ただ気付きにくいだけで、アイコンを無断転載画像にしてるやつも、ブログ記事に公式サイトから引っ張ってきた画像を適当に載せてるやつもそんなに変わらない。
映画全編より作業と罪悪感が少ないだけだ。
そしてそのシェアは、好きなコンテンツのシェアじゃなく、そのコンテンツが好きな自分をシェアしているだけだ。
好きなコンテンツに損失を与えているという意識はない。
言ってしまえば、屋外で自分勝手で横暴な迷惑行為を振りまいている人と同じだ。
そこで満たされる欲求は多くの人に迷惑をかけている。
- 石は投げにくく効果も薄い -
僕は音楽が好きで、毎日YouTubeで新しい音楽を見つけてはリストに振り分けてるくらいYouTubeを使っている。
動画サイトを使えば一目でわかると思うが、違法アップロードの動画に目をやらない事はほぼ不可能に近い。
上記の"君の名は"が話題になった時もこんなツイートをした。
映画の違法視聴に石を投げられるのはYouTube等動画サイトで違法アップロードや違法な内容の動画を全く見たことがない人だと思うが、現代社会ではかなり難しいと思う。
— ばんくし (@vaaaaanquish) 2016年9月28日
これがとても難しい。
ブラウザでリンクを開いて投稿者を確認するまで違法アップロードか判断しづらいし、アカウント名に「【公式】」までつけているアカウントまである。
アップロード者の目的も色々あって、広告料を稼ぐアカウントもあれば、善意と思ってアップロードしている人も居ると思われる。この多様な目的が、転載かどうか判断するのをより難しくしている。
しかし、公式からアップロードされたり提供されたりしないものは、投稿の形式がどうであれ、珍しいし、価値が生まれ、シェアされて広まって、より判断するのが難しい形でユーザの元に広まっていく。
現代社会で、この広がりの波自体を避けて通るのはとても難しい。
それはSNSでも同じだ。
例えばこのアカウント。
Twitter / Account Suspended
フォロワーは1万5千と僕より多い。
YouTubeから日本の音楽グループのMVを切り取って転載するだけのアカウントだ。
この動画が公式のYouTubeで再生、シェアされていれば、アーティストが設定した公式の広告が流れ、広告料がレーベルに入り、アーティストの活動がしやすくなり、アーティストも聞き手もWin-Winだったであろう。
こんなアカウントがごまんとある。
ごまんとあると、つい「宣伝」と思いRTしてしまいがちだけど、本質は無断転載で損失を生んでいる。
その事を意識すらしにくいのが現状だ。
かつて転載で炎上し、凍結にまで至った@Copy__writingとその周辺のアカウントもある。
togetter.com
しかし、該当アカウントほぼ全てが「自分でアカウント削除 -> 復元可能期間に復元」の方法で復活している。
インターネット警察だけでは、処理しきれず蔓延を止める事ができないのだ。
- じゃあどうすれば良いのか -
まず我が身から。
自分でこれアカンかなと思えば自分で止めれば良いし、訂正すれば良い。
インターネットなら訂正できる。
ツイートもリツイートも消せるし、アイコンも今から変えられる。
ブログ記事だって書き換えられる。
そうやって転載してるうちは、ファンでも批評家でも個人ジャーナリストでもない。
ただの迷惑ユーザだ。
人の事を注意するのも良いけれど、まずは我が身から。
認知的不協和にもがく暇があれば、少し自分の行動を見直すのが一番良い。
あなたのシェアが変われば、フォロワーが変わり、社会が変わり、その先にコンテンツもより良く変わるのだから。
- おわりに -
適当に殴り書きしたけど、僕自身も意識しない所で何かやってるかもしれない。
でも意識してても避けるのが難しい現代だからこそ、意識する意味はあると思う。
もし僕が変な事をしていたら、その時は遠慮なく木の下に埋めてあげて欲しい。
\ババーン/